要件を満たすストレスチェック
先に少し触れたスウェーデンで実験的に建てられた究極の省エネ住宅「無暖房住宅」では、人間の体温と照明などの発熱だけで暖房が可能になりました。
日本の首都圏以西の本格的な外断熱の建物で、それに近いことが起こることがあります。
東京の真冬というと通常、最低気温が三℃前後、最高気温が一0℃前後ですが、このとき外断熱マンションではどのような生活になるでしょうか。
朝六時半に起きて、二0℃に設定した暖房(パネルヒーター)のスイッチを入れる。
ご主人や子どもたちが起きてきて、食事を済ませて出ていったら暖房スイッチはオフ。
夕方六時ごろまた暖房スイッチを入れて寝る前にオフ。
たとえば、このような使い方で室内は一日じゅう二0から一三℃が保たれています。
ただし、外断熱マンション居住者の経験を聞くと、次のようなこともあるようです。
昼間は冬でも暖房を入れないで室内が二三℃くらいになり快適だったそうですが、あるとき友達が四人、遊びに来ました。
すると、それだけでじわじわと室内温度が上がり、やがて汗ばんでくるほどになりました。
とうとう暑くなって汗をふくような状態になったので、クーラーを入れた、というのです。
このようなときは窓を開ければ冷たい空気がすぐに入ってくるのですが、サッシの遮音性が高いため、窓を開けるとクルマの音が妙に気になるので開けたくないそうです。
外断熱だと外界と遮蔽されたまま快適空間ができあがるので、窓を開ける習慣がなくなりがちです。
それで、冬にクーラーをつけるという冗談のようなことが起こってしまったようです。
欧州では昔から、朝起きると窓を盛大に開ける、寝る前には外がどんなに寒くても窓を開けるという習慣があります。
それでも暖かいのは、建物のおかげです。
実際二月の厳寒のスウェーデンのホテルで夜八時ごろパネルヒーターの温水が止まる経験をしましたが、その後も躯体の蓄熱だけで十分に快適な温度が確保されたのでした。
現状では、外断熱マンションでも夏の温度・湿度の調節はエアコンが多いようです。
東京の真夏はヒ1トアイランド現象で熱帯よりも暑くなるほどですから、エアコンのフル稼働が当然です。
しかしその感覚でエアコンを使っていると、外断熱マンションではとんでもないことになります。
すぐに寒くなりすぎてしまうからです。
外断熱マンションは、室内温度にコンクリート温度が同調します。
窓から日射を取り込みすぎてコンクリート温度が上昇するように(実際は、上・下戸や隣戸があり、簡単に温度変動はしないで低温でクーラーをつけっ放しにしているとコンクリート表面の温度が下がります。
さらに、家具や置物の温度が下がります。
その状態で、高温多湿な外の空気が室内に入り込むと、瞬間的に壁や家具に結露することがあります。
車に乗ってクーラーをつけていると、ガラスの外側で結露が起きて、室内側から慌てて拭いても結露が消えません。
よく夏型結露の話を持ち出す人は、このことを指しているのでしょう。
しかし、外断熱マンションが温暖地域や蒸暑地域で建設され、様々な測定が行なわれた結果、真夏の外断熱マンションのコンクリート躯体温度が二八℃前後で一定していることが分かってきました。
官頭のエアコンをフル稼働すると室温がすぐに寒くなるというのは、躯体の温度のためです。
したがって、クーラーも従来のように二三から二四℃のような低温で使う必要がないのです。
外断熱マンションの居住者からは、二七から二八℃でも快適だとの報告があります。
ただし、夜間でも三0℃を超えるような高温多湿な日に外気を取り入れると、室内の相対湿度が高くなり、不快に感じます。
また、カビの生える条件となるので注意が必要です。
これは一つの盲点といえるでしょう。
したがって、外断熱マンションの夏場の住まい方としては、温度と湿度を快適にコントロールすることが大切になってきます。
温度を下げるためには、早朝や夜間の温度の低い外気を積極的に室内に導入すると同時に、高温多湿な日は、エアコンを冷房と除湿の目的で使用することです。
また、外断熱マンションでは、扇風機が思いのほか快適だという意見もあります。
東京に建った外断熱マンションの居住者で、外からの日射を防ぎ、朝夕の外気を導入することで、エアコンなしで過ごした人もいると聞いています。
また、窓の外側に簾などの日除けを施したという人もいます。
外断熱マンションは、究極のパッシブ建築であり、密閉された建物ではありません。
窓を閉め切って、低温の冷房(冷暴)に耐える必要はありません。
自然の風(外気温度が低いとき)を窓を開けて取り入れ、小さな冷房エネルギーと扇風機で高温多湿な日本列島でもエコロジカルで快適な暮らしをすることが可能になります。
日本人が求める住まいの条件として、日当たりと風通しが良く、じめじめしていないことが優先的にあげられると思います。
高温多湿で冬は寒い日本では、夏はじめじめ、冬は寒い北側はあまり快適ではないというのが常識になっています。
分譲マンションも東南から南向きの日当たりの良いところから売れていきますが、マンションの場合、必ずしも南向きがよいともかぎらない点があります。
それは前述のように日当たりが良すぎて暑すぎる、ということがあるからです。
とくに断熱効果が高く、室温に同調する躯体コンクリートが適温を保ってくれる外断熱マンションでは、かえって真夏の日射がマイナスに働くことになります。
外断熱マンションでは意外にも、北側のほうが住みやすいのです。
もちろん、住まいに対する考え方は人それぞれですから、とにかく理屈ぬきで日当たりが良いことに幸福感を感じる人もいるでしょうし、植物や花を育てるために南側のほうが都合が良いという人もいるでしょう。
ただ、いままで日本で嫌われていたほどに北側は悪くない、むしろ快適であるということが、外断熱マンションで暮らしてみるとよく理解できるということはあるようです。
また暮らしやすさとは別に北側の部屋が良いのは、窓からの眺めがきれいなことです。
「いや、南側のほうが明るくてきれいだろう」と言う人は多いのですが、実際には北側のほうがきれいです。
それは、北側の部屋の窓から見ると、目に映るものすべてに陽が当たっている外断熱マンションの住まい方一従来の住まいからです。
大きな落葉樹の四季おりおりの色彩が、いつも明るく窓に映ります。
逆に、南側の部屋から見た景色は、すべて逆光です。
陽が当たるので解放感は感じられるものの、樹木の幹も木の葉の緑も、あるいは建物も、光の影の部分しか見えないのでなんとなく暗く感じてしまうのです。
気密性の高いマンションでは、自然と触れ合いながら、その厳しさとやさしさを感じつつ暮らすような日本人の伝統的な生活スタイルは不可能です。
北側の部屋の落ち着いた雰囲気で、快適さと目に映える色を楽しみながら暮らすのも、また良いものです。
Yさんは、その草分けと言ってもいいでしょう。
専門的な話は抜きに、外断熱の良いところや住むときに注意すべきところなどの率直な意見、さらに実際の光熱品質の比較など、これから外断熱マンションに住もうという人にはとても面白く、参考になる興味深い話になっています。
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